夏になり、普段小児の骨折をあまりみない病院にも小児の骨折の患者さんが来院することが増えているのではないでしょうか。

小児の骨折は、一般的に夏に多いイメージがありますが、実は春や秋に多いという疫学調査があります。

特に上腕骨顆上骨折をふくめた肘周辺骨折は、手術適応となることもおおく、外来で対応に苦慮することも多いのではないでしょうか。

わたしも整形外科1年目のときの休日診療の時に、上腕骨顆上骨折のお子さんが来院して、対応に非常に苦慮した覚えがあります。

まずは小児の骨折の基本原則ですが、
1 必ず健側も含め両側撮影を。
2 小児は疼痛部位がはっきりしないことが多いのでわからなければover にレントゲンをとる。(膝がいたいという触れ込みだが、実は股関節痛など)

今回は肘周辺骨折に関してお話しようと思います。

1 上腕骨顆上骨折
2 上腕骨外側顆骨折

1上腕骨顆上骨折
整形外科のemergency疾患の一つの上腕骨顆上骨折です。

神経麻痺をきたすことや循環障害をおこすことがあるため、緊急の対応となることが多いです。
神経麻痺は解剖学的に正中神経麻痺をおこすことが多いですが、橈骨神経麻痺(後骨幹神経麻痺)や、稀にですが尺骨神経麻痺をおこすこともあります。

外来で診察する際は、神経麻痺がないかと循環障害がないかは必ずチェックする必要があります。

初期対応としては、上腕骨顆上骨折の診断がついたら、手関節から上腕までシーネ固定します。
循環障害や神経麻痺がある場合は、すぐに小児の骨折を手術できる病院への紹介が必要になります。それらがない場合は、休日や夜間などであれば翌日、手術対応のしている病院への紹介でかまいません。

上腕骨顆上骨折の分類としては、下記のようなものがあります。

シーネ固定は4週間程度おこなうことが多いです。

2 上腕骨外側顆骨折

次に肘周辺骨折で頻度の高い上腕骨外側顆骨折についてです。(肘周辺骨折の内、約17%)

上腕骨顆上骨折のように、神経麻痺などがでることは少ないですが、それなりに出会う疾患であり、見逃しが多い骨折になります。

上腕骨外側顆骨折は、上腕骨顆上骨折ほど緊急性が高くはないため、神経麻痺などがない場合は診断がついたら、手術対応している病院への紹介は翌日以降でかまいません。

分類としては以下のようなものがあります。wadsworth分類のⅡ以上で転位が3mm以上ある場合は、手術の可能な病院への紹介することをおすすめします。

wadsworth分類

また滑車の部分の転位が強い場合(側方に転位している場合)は魚尾状変形をきたすため、そこの評価も重要です。

上腕骨外側顆骨折は、上腕骨顆上骨折にくらべ、骨癒合に時間がかかるため、6-8週間固定することが多いです。

気をつける必要があるのは、上腕骨外側顆骨折とおもっていたら、上腕骨遠位骨端離開のことがあることです。上腕骨小頭と橈骨の関係性をみて判断しますが、判断に苦慮する場合は、関節造影をおこない判断します。

最後に、わすれたころにやってくるのがモンテジア骨折です。
モンテジア骨折は尺骨の骨折と橈骨頭の脱臼です。

前腕の骨折をみたら、橈骨頭の脱臼がないか必ずみるように習慣づけましょう。

以上今回は小児の肘周辺骨折に関してお話しました。

1 小児の骨折は両側撮影
2 上腕骨顆上骨折と外側顆骨折の各論
3 外側顆骨折と思いきや上腕骨遠位骨端離開のことがある
4 前腕骨折をみたら肘もみる